綺麗な夕日
どんどん教室から出て行く生徒達。
ついには私と、彼。
「あの・・・・さん、一緒に帰ろう?」
・・・・・・ブハッ!!!!!!
その可愛い言葉に、
私は飲んでいた水筒の中のお茶を噴出してしまった。
当たり前だが、相手は酷く驚いている。
「えええ!?ど、どうしたのさん!!」
「え、ううん!このお茶おいしすぎて思わず、ね!!」
「お、おいしすぎて噴出しちゃうものなんだね・・・・・・。」
「そうなの!!あはははははは。」
私は。
フツーにその辺にいる中学生です。
そんなフツーの私が噴出した原因は目の前のこの子。
三谷 亘
今年初めて知り合った子なんだけれど、
これがなかなかどっこい可愛い子なんです。
そう思い始めたのは今年の4月・・・・・・。
***
(隣の席の子はーー『三谷亘』・・・・君?)
私は座席表を見つつ、横の席の子にチラチラみた。
なんていうか・・・・フツーの、幼さの残る子だな。
同い年に見えないよ。(や、単に私が大人じみているのか?)
すると、彼もこちらを向いた。
「あの!僕、三谷亘って言うんだ。その・・・・よろしく、ね?」
「あ、よろしくね!私は。
あの〜・・・なんて呼べばいいかな?」
「ふつうに名前でいいよ!」
「じゃ、亘・・・・?」
そういった後、私は何も言えなくなってしまった。
幸せそうに、嬉しそうに
小さくはにかむ彼を見てしまったのだから。
心臓が、鷲掴みにされたきがした。
(可愛い彼に、恋をしていた。)
***
過去のことを考えてると、顔が緩んでしまう。
(ほら、亘がキョトンとこっちを見てる。)
「あ・・・・・でもさ亘、」
「?」
「芦川君はいいの?」
そうだった、私には最強のライバルがいるんだ。
隣のクラスの、芦川美鶴君。
学校で一番モテているのは、何があろうとも彼だろう。
そんな彼が狂ったかのように(いや、そこまでではないか)溺愛しているのが亘。
おかげで何度私が天に召されかけたか。
(彼は視線や殺気で人を殺せると思う。)
「美鶴は大丈夫だよ、妹のアヤちゃんが風邪引いちゃってね。
だから、早退したんだよ。」
「・・・・・・。(彼のシスコン疑惑は本当だったのか・・・・・。)」
「だからね、さん!!・・・・・一緒に帰ろう!!」
「・・・・亘がいいならいいけど・・・・・・なんで私?」
私がそういうと、亘は俯いてしまった。
(心なしか、耳が赤い・・・・・・。)
「だ、だって・・・・僕、君についてもっとよく知りたいんだ。
もっと仲良くなりたいし、一緒に帰りたい。
だからね、その・・・・さんのこと・・・・・・」
4月に会った日から、好きなんです。
その言葉に心の中が、暖かくなった。
私も、なにか言ってあげなくちゃ。
いや・・・・・・『言いたい』んだ。
「亘・・・・、私も好きだよ。4月に会ったその日から。」
「え・・・・本当に・・・・・?って、うわぁ!!!!」
私は思い切り亘の手を握り、引っ張った。
恥ずかしくて、彼の話をきけなくなった。
「だから、ね!!一緒に帰ろうか!!亘!!」
「・・・・・・・う、うん!!さん!!!!」
亘は顔を真っ赤にして、微笑みながら
私の手を、彼の小さな手で握り返してくれた。
僕と一緒に帰ろうか
(私のことも、呼び捨てでいいよ?)
(ええ?じゃぁ・・・・・・?)
(だぁぁ!!可愛く言わないでよ!)
(えぇ!?僕、可愛く言ってないよ!?)
おまけ↓
「美鶴美鶴!!!」
「どうした亘?」
顔を赤らめながら芦川君に話しかける亘。
それに優しく反応する芦川君。
そして、それを遠くで声だけ聞いてる私。
「僕ね、好きな子ができたんだ!でねでね!両想いだったの!!」
「ほお、良かったな。」
(声が酷く怖ェェェェェェェェェ!!!)
私は内心冷や汗ダラダラ。
てか、芦川君ぜったい良く思ってないよ!
「・・・・・・で、相手は誰だ?」
(お願い亘!内緒にしてください!!)
「えへへ・・・・・内緒だよ?」
(ほっ・・・・・さすが亘!)
「そうか、か。」
・・・・・・・。
なんで分かるのぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!
「俺を誰だと思っているんだ、。」
しかも、心読まれたーーーーー!!
「じゃ、亘。
俺、に用事あるから。
な?さん??」
(誰か、・・・・・・助けて。)
end