やっと日本についた。

私は安堵のため息をついた。








プロローグ







国際空港、いろんな国の人で溢れかえる場所。

スーツケースを持った人が多数歩くなかで、私はある人を探していた。

(来てくれるのかな……?お兄ちゃん、人が多い所嫌いだし………。)



私の名前は雲雀
お兄ちゃんとは、ちゃんとした兄妹。
数年間はイギリスで過ごしていたので、久し振りの再会になるけど…
(お兄ちゃん、元気かな?)



「すいません。雲雀 さんですか?」


ふと声を掛けられたのでふりむくと、

学ラン
強面
そしてリーゼントな人がいた。

口には何故か草を咥えている。
(日本人の新しいお洒落の一つかな、うん、きっとそうだ。)



そう納得しようとした途端、14年間の本能が私に言った。




「逃げろ」と。





「あ、や、ちち違います!!」
「?…しかし写真の人物は確かに貴女ですが………。」

そう言ってジャパニーズヤンキー(名前しらないもん)が見せてくれたのは、
明らかに私の写真。
(しかもちゃっかりピースしてる。なんてこった)


私ヤンキーに狙われるような事してないよね!?
ってか、よく見たらこれイギリスの学校の修学旅行で撮ったやつだよね!!
横にジェシカがいるもん!!!
金髪ロングの大人な表情…憧れるなぁ。(←どうでもいい)


「ともかく、し…失礼します!!!」


そう言い残して思い切り走った。
スーツケースがゴトンゴトンいってるけど気にしない。


「待ってください さん!仕事で迎えを頼まれただけで……!!」

後ろから、ヤンキーさんが追い掛けながら叫んでくる。
あんなに叫んでいるのに、咥えてる草は落ちない。

うん、受験生に良い草だ(?)


しばらくしたら、ヤンキーさんが追い掛けて来なくなった。

(良かったあ…お兄ちゃんに会う前に人身売買されたら困るもん)

ほっとしながら、そのまま外へ出た。










綺麗な青空。
風に流される雲。

全部あの日のままで……
幼い記憶の中に眠っていた並盛町が今よみがえった。

 (着いたんだ…やっと!!)

感傷に浸ってみたりする。うん、なんかかっこいい!
しばらく目線を上に向けていたが、流石に首が痛い。


しかし下に視線を下ろした瞬間、心臓が凍り付いた。




目の前には黒、黒、黒。
正確には学ラン。
そしてリーゼントの群れ。

そう、まさしく『ジャパニーズ・ヤンキー』なのだ。




あははははは…日本の文化、もっと勉強してから来れば良かった……。
日本でリーゼントって、少し古いと思ってた私が悪かったです。
だから……



(皆してこっち見ないでーーーーーー!!!!)


リーゼント軍団 (あ、名前カッコいいかも) は揃って私を見た。
・・・・・・手に持ってる私の写真と見比べながら。


(あぁジェシカ…私も貴女も有名人ね。ごめんなさい巻き込んで。)




ここは潔く降参かな?
戦うのも悪くない気もしないでもないけど……

私、平和主義者ですから。


と、諦めたと同時にリーゼントは私に向かってお辞儀をしてきた。
(ほら、斜め45°ってやつ)


(…………って、ええぇぇぇぇぇえぇえ!!!??? )


さん、お待ちしておりました!!ようこそ並盛町へ!!!」

さっき会った草咥えてる人がそう言ったあとに、(てか、来るの早っ)
他のリーゼントさん達が「お待ちしてました!!!」と一斉に言う。


………新手のホスト?
まっさかぁ。




「我らは並盛中学校風紀委員。
委員長の雲雀恭弥の命により、妹・雲雀 さんをお迎えに上がりました。」



はい?並盛中学校?
…あ、だから写真を持ってたんだね。
良かったね、ジェシカ!


ていうか…………






(事前連絡ちょうだいよ…お兄ちゃん。)





日本…並盛での生活は、好スタートをきった。

(…好スタートかな?)























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