さん、本当に行くんですか!?」

「俺達も一緒に・・・・・・」

「お願い、私ひとりでいきたいの。」




空は、曇り空だった。

今の私の心みたいにね。




***







「あと2ふ〜ん・・・・・」
「怖くなっちゃったのかな?あの風紀委員長も!」

「「「ハハハハハハハハ!!!!」」」



相変わらず、俺はボコボコにされたまま動けない。
この不良は、1分ごとに俺に一発蹴りを入れてくる。

「グッ・・・!!」


今ので、8回目。


「お?あれは・・・・・・・・」

ひとりの不良が小さく声を上げた。
そいつの視線を追うと、そこには



「うひゃ〜来た来た!!雲雀恭弥!!!!」



漆黒の髪
つりあがった瞳
そして、身に着けている学ランと

風紀委員の腕章。



雲雀恭弥が、まさにそこにいた。


(あれ・・・・・・?)


でも、違和感がある。
超直感なのかな?なんか変な感じがする。



「んじゃぁ、一勝負行きますか〜!」
「俺等、か弱いから全員で行くんで。そこんとこ、よろ〜。」
「頑張っちゃってくださ〜い」


【1対大人数】 なんて卑怯だ!と言おうとしたが、口の傷がピリッてなって、声にならなかった。
そんな俺を、雲雀さんは一致した後、

すばやくトンファーを取り出し、まっすぐ不良の群れのほうへ行った。


「!?」


その戦い方はなんだかいつもと違った。

力とか、威力とか、殺意の念とかじゃなくて、不思議と美しくて、
舞台の上でワルツを踊っているような
優雅で上品な感覚。



そして、ひとり、またひとりと瞬殺していく。
何故かいつも雲雀さんに感じる恐怖心が沸かなかった。


しかし、目の前の敵に気を取られていた雲雀さんは、
背後から迫る敵に気づけなかった。


ガッ


「ッグ・・・・!!??」

「調子乗んないでくれませんか?雲雀恭弥さんよぉ・・・」



首をつかまれ、高く持ち上げられてしまった。
かなり苦しそうだ。


「ん??」


ふと、不良が何かに気がついたのか、
雲雀さんの目に手を近づけた。



ぺリッ
ぺリッ


「こりゃぁ傑作だな!!おい皆!!
 雲雀恭弥は、このセロハンテープでつり目にして強く見せてたらしいぜ!!」



俺の視界に入ったのは、
あの冷たい、強いつり目じゃなくて、

暖かくて、優しい大きな瞳だった。
涙目で、必死に苦しみに耐えている。



「雲雀恭弥って、こんな可愛らしい目だったのか〜
 そりゃぁ男だったら、テープ使って変えたくなるわ〜〜〜」


(ちがう・・・・・)





(その子は、雲雀さんじゃない!!!!)


今、ちゃんと気づいた。超直感は間違っていなかった。

俺はその子を知っている。
でも、その子については何も知らない。

(いや、知ろうとしなかった。『雲雀さん』の妹のことだから。)

















あ なたの世界ってちっちゃいね

(って、神に言われた気がした。)
(もっと広い世界で見つめられたら)
(もっと早く、彼女を・・・・・・)













next