「う〜ん・・・・高いな・・・・・。」
私は、並盛商店街にある洋服屋に置かれているデニムを見ている。
欲しい。いや、あきらめようか。高いしなぁ〜・・・・
(こういうことって、結構迷うんだよね・・・・・。)
「ねぇ、あの人たち凄くない?」
「うんうん!セレブなのかな?」
ザワザワとしだした商店街。
携帯片手に動き出す女性客。なんだなんだ?ベッカムか?ケビンか?
周りの人の視線にあわせてみると、そこには黒い集団。
(ま、まさかお兄ちゃん・・・・・・?いやいや、あそこの人は周りがリーゼントじゃない。)
しかもお兄ちゃんセレブじゃないし。
でも、もしお兄ちゃんだったら?(セレブにも見えるかも!きっと!!)
確認しようと前に回って中心人物の顔を確・・・・・・・
「コラ!」
「っ!!」
スーツのひとりに腕を掴まれた。心臓が飛び出るかと思った!!
あわわわわどうしよう・・・・・
「おいおいお前ら、そんなに警戒しなくても大丈夫だぜ?」
なんと、中心人物が黒ずくめの集団の隙間から顔をお出しになられ・・・・・
「あ・・・・・・・・れ?」
「あ!お前・・・・!!!」
相手もビックリしているようだ。
金色の綺麗な髪の毛、そしてタトゥー!!
(あれ?このひとやっぱりどこかで・・・・・・ああ!)
「どうしたボス。知り合いか?」
「ああ、だから放せイワン!
それと、ちょっと彼女と話したいんだ。久々の再会だからな。」
***
今、私は喫茶店にいる。お洒落で綺麗で、一度は入ってみたかった。
まさかこの人と入るなんて・・・・・・・。
(黒ずくめの人が出入り口で群れてる。お兄ちゃんが来たら地獄絵図だ・・・・・)
「悪かった・・・。うちの部下が心配性で・・・・・」
「い、いえ!気にしないでください!!」
ホントわりぃな。と言いながら、金髪のボスさんは紅茶を飲む。
クラシックブレンド、渋みと苦味がちょうどいいといわれている紅茶だ。
(・・・・・カッコいいなぁ・・・・。そういえば、名前知らないんだ私・・・・・)
「?・・・・どうした?」
「え、あ・・・えと・・・・名前、聞いていなかったんで・・・・・」
「ああ!あの時は名前もいえないまま別れちまったからな。
俺はディーノ。お前も聞いていいか?」
「雲雀で「え。」」
ディーノさんが固まってしまった。
え、なんか悪い事言ったかな?
「雲雀・・・・・?」
「はい。」
「あのよ・・・・・兄貴いたりする?」
「?はい、恭弥って名前の兄がいます。」
「・・・・・・・・・・。」
ディーノさんは、わたしをとじっと見ながら紅茶を飲む。
(な、なんか恥ずかしいな・・・・・)
「世の中何があるか分かったもんじゃないな。」
「?はい、そうですね。」
「妹か・・・・恭弥の奴、何も教えてくれねぇからあちちちちち!!!」
「!大丈夫ですか!!!????」
「あぁ、大丈夫だ。多分。」
ディーノさんの紅茶が、彼の服にもろかかった。
コップを口に運ぶつもりが、みぞおちの辺りに運んでいた。
(どうしちゃったんですか!!??)
「お兄ちゃんを知っているんですか?」
「ああ、一応師匠・・・・だったかな?」
「うわぁー!!お兄ちゃん、弟子になったんですか!!!」
「まぁ、な・・・・はははは。
あーそういや、俺達が会ったのって、何年前だっけ?」
ディーノさんは、私が貸したハンカチで服を拭きながらそう言ってきた。
いつだったかな・・・・・(そういえば、お兄ちゃんの弟子入りの話がうまくかわされた気が・・・)
「そんな前では無かったですよ?私が留学していた頃です。」
あの人のギャップって凄いよね
(あ〜段々思い出してきたぜ・・・・!!)
(私も段々思い出してきました。)
((あれは1年前の・・・・・・))
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