なんてこった。
まさにその言葉が活躍する瞬間だった。



***



転校初日。
しっかり制服を着こなして並盛中へ向かっている私、
ボタンも開けてない!スカートも上げてない!

「清く正しく美しく」と、昨日散々お兄ちゃんに言われた。
お兄ちゃんの鳥まで(いつの間に鳥なんか飼い始めたのかな?)
「キヨク!タダシク!ウツクシクーーーー!!」

とか言うから、とうとう私・・・・・洗脳されたみたいです。


清く正しく美しく・・・・清く正しく美しく・・・・

そう頭の中で思いながら(あはは、もう重症だ)向こうのほうに見える学校へ。





・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・。

・・・・???


校門には風紀委員・・・・・いや、リーゼント軍団。
揃いに揃って、私をめっちゃ見てる。(自意識過剰とかじゃないよ!)


「「「「「「「雲雀 さん!おはようございます!!!!!!」」」」」」」」


そして私に次々に花を渡してくる。
全部綺麗なカーネーション。

って・・・・・・まてぇぇぇぇぇい!!!!


「私は、あなた方のお母さんになった覚えはありません!!!!!」


「そんな! さんが我々の母だなんて・・・・」
「恐れ多い!」

そうじゃないでしょ、ちょっと!
他にも言うことあるでしょう!!!!


「それはそうと、委員長がお待ちです。さ、こちらへ。」


カーネーションの束の隙間から、草をくわえてる人が見えた。
その人に従って校舎へ(やっと)入る。


・・・・・・学校が前日よりも花でいっぱいなことや、
『おいでませ! 様』と書かれている大きな旗や、
『祝・ 様並盛中転校』と書かれたバルーンは


見なかったことにしよう。






「わぉ、 すごく良く似合ってるよ、その制服。」




かなり上機嫌の私の兄、雲雀恭弥。
私は苦笑するしかなかった。


「学校を見てびっくりしたでしょ?」


ええ、いろんな意味で。

・・・・・とは、やはり言えないので、
(だって、折角ここまでしてくれたんだもん。私幸せ者だよね?)


「あはは、ありがとう。カーネーションであんまり見えなかったけれど
 すごかったよ!」


と、つい言っていた。
ほら、お兄ちゃんすごく嬉しそう。(これが分かるのは私くらいかな?)
「じゃぁ、またの機会もこんな感じで・・・・」って、なるんだろうな。

私って、ダメな女だな。







***





「それでは、『入りなさい』といったら入ってください、どうかお願い致します。」
「や、そこまでお願いされなくても入りますから・・・・!」


今、私は2年A組の前にいる。
担任の先生は私を不良だと思っているのかな?
尊敬語・謙譲語・丁寧語・・・・・・。

すべてをフルに使って私と会話をする。


そして何度も頭を下げた後、「皆、おはよー!!」と言って教室へ勢いよく入る。
・・・・・先生、変わりすぎ。



「今日は転校生が来てる!今までイギリスにいた子だ。」

「おーーー!帰国子女か!?」
「女の子って聞いたぜ?」
「よっしゃーーーーー!!!」
「お友達になりたーーい!」

クラスの声がドア越しに聞こえる。

(お、落ち着け私の心臓!!)


大丈夫、日本語だって話せるし、日本文化だって勉強したじゃん!!
…リーゼントの伝統はさすがに分からなかったけど。



「では、入りなさい。」


お!これは合図か???
よーし、深呼吸して・・・・・・・


ガラッ




「うぉ!可愛い〜!」
「おしとやかそう!」
「綺麗な顔してるぜ!」

所々から聞こえるヒソヒソ声。
よかった〜マイナスな事は言われてない!!



「じゃ、自己紹介をしていただきましょう?」

(先生!微妙に敬語になってる!しかも汗だらだら!!!)




「えと・・・、イギリス留学から帰ってきました。
 雲雀 です。」








クラスが一気に静まり返った。














決 して怪しい者ではありません

(お兄ちゃんどんだけ恐れられているわけ!!????)
(てか、お兄ちゃんこの学校でなにしてるわけ!?)













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