「お兄ちゃん、大丈夫?」
「・・・・頭、痛い。」
私は、お兄ちゃんのおでこに冷却シートをつけた。
少し冷たそうだが、きっとすぐにぬるくなるだろう。
「先生も、しばらく休んだほうが良いって言ってたし・・・・・
ゆっくり休んでね?」
「・・・・・。」
「何?」
「しばらく僕に近づかないほうがいいよ。
・・・・・・に僕の風邪、うつってほしくない。」
「お兄ちゃん・・・・・・。」
「あと、」
「?」
「この鳥の事、しばらくよろしくね。」
お兄ちゃんは、布団の中に必死に潜ろうとしていた、
黄色い小鳥を私の手にそっと乗せた。
***
「あ、じゃん。」
「おはよう!ちゃん!!」
登校中、校門の前でばったり2人に会った。
朝の挨拶って、本当にいいものだなぁ〜
「おはよう、京子ちゃん、花ちゃん!」
「だ、だから呼び捨て・・・・」
「オハヨウ、オハヨウ!!!」
「「・・・・・・・・?」」
京子ちゃんと花(そういえば、呼び捨て強制されたんだった!)は、
揃って声のするほうを見た。
そう、私の頭の上。
「きゃー可愛い!」
「この鳥、雲雀さんのじゃないの?」
2人とも、その黄色い鳥を見てとても驚いている。
私の頭上が気に入ったのか、鳥・・・・通称ヒバードは
さっきからそこに居座っている。
「それが、お兄ちゃん高熱出しちゃって・・・・・
看病しようとしたら『大丈夫だから』って、
その代わりに、この子の世話を頼まれちゃったの・・・・・。」
「ヒバリ、ヒバリ」
「へぇーそうなんだ!!」
「ねぇ、一度こいつ触ってみたかったんだ!いい?」
「あ!花ずるい!私もいいかな?」
「へ?あ、いいよ!!」
・・・・・・。
結局、遅刻ぎりぎりまで『おさわりタイム』
は続きました・・・・・。
なんとか教室について、安心しながら自分の席に着くと、ヒバードが突然歌いだした。
クラスの皆がこっちを見てる。
ひ〜!!勘弁して!!
「み〜どりたな〜びく〜並盛の〜♪」
「わわ!ちょ、ここで歌わないで!!」
「ははっ、も大変なのな〜!」
あの、山本君はいつから私を名前で呼ぶようになったのでしょうか?
聞きたいけど聞く勇気が無い。うぅ・・・・・
「おい、なんでコイツの事名前で呼んでんだよ。」
そうそう、よくぞ言ってくれた・・・・・・って、
この銀髪の少年は・・・・・・・
「えと・・・・・獄道く「獄寺隼人だ。間違えんな。」 あ、すいません!」
「おぉ、獄寺か〜!!ほら、『雲雀』って呼ぶと、兄とかぶるだろ?
だから、名前のほうがいいかな?なんて!」
(ふむふむ、確かに・・・・・・)
「だから、名前だったんだけどいいか?」
「うん!もちろん!」
「おい、。」
獄寺君・・・・・・あんたも早速名前呼びかい!!!
「なんで、頭の上にそいつがいるんだ?」
「・・・・・・あぁ・・・・・・。」
「なんだよ、その『この質問、2回目だ・・・・・』って顔は!!!」
ワォ、すごいよ獄寺君!
(思わずお兄ちゃんの癖が・・・・・)
「雲雀さんが高熱で休みなんだってさ。」
代わりに答えてくれたのは花。
その言葉に獄寺君はかなり驚いているようだ。
「あいつがかよ・・・・・今日雪降るかもな。」
「ははっ!じゃぁ、そん時は皆で雪合戦しようぜ!」
「この野球馬鹿!たとえを本気にすんな!!」
獄寺君と山本君が漫才を始めました。
しばらく見ていようと思ったが、長くなりそうだ。
ふと、視界に入ったのは京子ちゃんと話す沢田くん。
お互い笑顔で、第三者のくせに私ったら、心が暖かくなっちゃった。
(いいなぁ、わたしもあんな風に沢田君とも仲良くできたら・・・・。)
『雲雀イメージ』の壁は、なかなか壊せないものなのかな・・・
「だ〜いなく小なく〜な〜み〜が〜いい〜〜♪」
お願いヒバード、
私のセンチメンタルな心にその歌はやめて。
触らせて?
(そう志願する女子がたえない。)
(遠くから見ると、私が頭なでられてるみたいだって、)
(山本君がニコニコして言ってた。)
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